漠然とスーツを着ていたりしませんか? 実はスーツの着こなしには多くのルールが存在します。ルールと聞くと面倒に感じるかもしれませんが、逆に言うと、初歩的な事さえしっかり押さえておけば、スーツほど自信を持って着こなせる服はありません。
カジュアルの場合は、流行のアイテムやシルエット・素材などトレンドの状況で変わりますが、スーツなら多少のトレンドはあるものの、着こなしのルールには変化がありません。
今回は数あるルールの中でも特にトレンドに左右されない、基本となる5つのルールを紹介します。
スーツのルール:その①
シャツとジャケットは袖丈のバランスが大事
スーツにとって一番大事なのはサイジングです。特にジャケットとシャツのバランスはとても重要。肩幅やウエスト・着丈など注意するところはたくさんありますが、既製品のスーツをジャストサイズで着ているように見せるためには、まず“袖丈”を注意しましょう。
ジャケットの適切な袖丈の長さは、腕を自然に下ろした時に腕のくるぶしが隠れるくらいの長さが理想。もしくは、親指の先から11~12cmを目安にすると良いと言われています。要するに指先からシャツまでの見た目が重要ということです。
そして一番大事なのが、シャツとのバランス。シャツはジャケットの袖から1~1.5cm覗くのくらいがベストになります。このルールは、シャツなら汚れても洗えることから、ジャケットよりちょっと長くする習慣に由来しているそうです。
スーツのルール:その②
高級感を出すなら小物は同色で揃えて統一させる
パッと見の印象で大きな要素を占めるのが小物です。ネクタイ・メガネ・バッグ・腕時計・ベルトなどの色を統一するだけで、グッと品のあるスタイリングになり安定感が上がるほか、素材も意識して揃えると、よりエレガントなスタイリングに近づきます。
たとえば、“ビジネスシーン”ならブラックで統一するのがおすすめ。カッチリしすぎたくない時にはアリですが、ブラウンのシューズはどうしてもカジュアルなイメージを与えてしまいます。カバンや時計など簡単に色を統一できない場合は、最低でも靴とベルトの色は合わせましょう。それだけでもスタイリングがしっかりと締まります。
また、最近流行りの機能的なナイロンバックでも、色を意識してあげるだけ統一感が上がりスタイリングが引き締まります。ちなみに、シルバーもモノトーンな印象を与えるため黒との親和性が高いアイテムです。
スーツのルール:その③
基礎中の基礎!ジャケットのボタンの留め方
ジャケットのボタンの留める箇所にもルールがあります。三つボタンの場合は上ふたつ、二つボタンの場合は上ひとつです。また、第一ボタンがラペル裏に隠れる仕様のジャケットである、「段返り」という三つボタンのスーツの場合は、「中1つ掛け」になります。どの仕様でも一番下のボタンは飾りなので、外すのが基本になります。
三つボタンとふたつボタンで、どちらがオシャレということはありません。ただ、三つボタンのスーツは若々しい印象を与えることもあり、最近のビジネススーツではVゾーンをより広く見せられるふたつボタンか、段返り三つボタンが好まれています。
ちなみに、座っている時はボタンを全部外します。以前観た海外の映画では、座ったり立ったりする時に、いちいちボタンの開け閉めをしていました。ちょっと面倒ですが、この動作を自然にこなせると、スーツならではの“所作”になり色気がグッと増すため、是非とも実践したいスーツマナーです。
スーツのルール:その④
ネクタイは「ディンプル」を作る
結び方、ラベルとの幅の相関性、シャツとのバランスなど色々と注意することはありますが、ネクタイをする時に一番大事なのは「ディンプル(えくぼ)」を作ることです。ディンプルはネクタイに立体感を持たせて華やかに見せる効果があります。
結び方にコツが必要なため、ディンプルを作れてる人は少ないですが、裏を返せばディンプルを作れるだけで他の人と着こなしに差をつけられます。顔に近いネクタイは印象に残り易い部分ですから、ディンプルを作ることでデキる男を演出してみてください。
ここで、注意しなければいけないのが、「葬儀」の際はディンプルを作ってはいけません。立体的で華やかさを演出するディンプルは、場に相応しくないからです。逆に結婚式の場合はディンプルを忘れずに作りましょう。
スーツのルール:その⑤
手を抜きがちな靴下の色にもテクニックあり
ここまで4つのルールを押さえてきましたが、うっかり手を抜いて全てを台無しにしかねないのが靴下の色です。スポーツソックスを合わせるなどは当然NGとして、今流行っている黒の革靴に白いソックスという組み合わせも、ビジネスシーンではNGになります。
正しくは、靴の色かパンツの色と揃えてあげると良いでしょう。ただ革靴は色移りし易いので、靴と靴下の色を揃える方がおすすめです。
いろいろと難しいような気がしてしまうスーツの着こなし方ですが、しっかりとポイントを覚えておけば、ビジネスの上でも一目置かれる存在になるのは間違いありません。
TEXT & PHOTO/宇田川雄一