また、青少年の野外活動を行なうボーイスカウトもイギリス生まれ。ボーイスカウトの起源は、イングランドの軍人にして作家、ロバート・ベーデン=パウエルが1907年にイギリスの小島、ブラウンシー島で実験的なキャンプを行なったのが始まりとされる。翌年にはロンドンにボーイスカウト英国本部を設置。1910年にはパウエル卿の妹、アグネス・ベーデン=パウエルが、ガールスカウトを設立した。なお、余談だが、パウエル卿は日本の武士道を賞賛し、乃木希典陸軍大将とも交流があったという。
昨今人気のアウトドアウェア、ギアの多くがアメリカのブランドだけに、「キャンプの本場はアメリカでしょ?」と思っている人が多い。たしかに“本場”と言えばアメリカかもしれない。広大なスペースに大型のキャンプングカーで乗り付けて何日も過ごす。はたまた、大きな庭で親戚や友人を招いてBBQ、いかにもアメリカらしい。
でもキャンプ発祥の地、英国人たちもアメリカ人に負けず劣らずアウトドア好き。本場ほどスケールは大きくないが、手入れが行き届いたイングリッシュガーデンでピクニックしたり、紅茶とサンドイッチをもって公園に行ったりと、日常のなかにアウトドアが根付いている。
国土の大きさが日本の2/3ほどのイギリスでは、大きなキャンピングカーやトレーラーを使うのではなく、どちらかと言えば日本的なキャンプスタイルが主流。街乗りの乗用車にキャンプ道具を積めて、郊外のキャンプ場へと向かう。キャンプ場は予約制なことが多いのも日本と同じ。高規格とされるキャンプ場には売店を兼ねた受付があり、トイレやシャワー、ランドリーなども備える。ユニークなのはキャンプ場の近くにパブがあったり、フィッシュアンドチップスの販売が場内で行なわれていたりすること。キャンプ場で過ごしていても、やっぱりパブでビールが飲みたい英国人たちは、テントを離れていそいそとパブに向かう。