軽自動車やミニバン、SUVなど、イマドキの売れ筋車種を多数ラインナップし、巨人・トヨタに続く日本第2位の自動車ブランドへと成長を遂げたホンダ。そんな優等生の一面とは対照的に、ホンダはその歴史において、しばしば私たちに、熱い挑戦者魂を見せつけてきた。
その一例が、モータースポーツへの飽くなきチャレンジだ。バイクメーカーとして産声を上げたばかりであり、まだ地方の中小企業に過ぎなかった1954年には、2輪ロードレース世界選手権・マン島TTレースへの参戦を宣言(1959年に初出場)。また、1963年に軽トラック「T360」で待望の4輪車進出を果たすと、翌1964年から4輪レースの最高峰・F1グランプリへの参戦を開始し、その年の最終戦メキシコGPで記念すべき初優勝を果たしている。
一方ホンダは、環境保護や低公害車の開発にも注力してきた。有名なところでは、1972年に“CVCCエンジン”を実用化し、当時最も厳しいとされていたアメリカの排出ガス規制を世界で初めてクリア。その後もEV(電気自動車)やハイブリッドカーといった環境に優しいエコカーを開発し、続々と世に送り出している。
「挑戦した後の失敗より、何もしないことを恐れろ」とは、ホンダの創業者であり、偉大なる技術者でもあった本田宗一郎の言葉だ。今のホンダはスマートに振る舞いながらも、その核心には宗一郎の情熱が鮮明に息づいているのである。