「革財布を通じて知るMade in Japanの魅力」

「革財布を通じて知るMade in Japanの魅力」

緻密で正確な作りの良さで世界中から認められるメイド・イン・ジャパン。ハイブランドも日本の工場に依頼していることが多く、さまざまnなジャンルで高く評価されています。

 

では実際、日本製の商品にはどのような魅力があるのでしょうか?

 

今回はレディオアオーダーの職人兼代表である井戸崇史氏に、財布という革小物を介してメイド・イン・ジャパンの魅力をうかがったところ、日本の職人を鍛えているのは“お客様との関係性”というお話を聞くことができました。

■プロフィール

井戸崇史氏。2005年3月、東京東十条の小さな革工房で誕生した「READY OR ORDER(レディオアオーダー)」。ブランド名はREADY(既製品)でもORDER(オーダーメイド)でも、という思いから。使い勝手の良さと職人の作る確かな品質が魅力のブランドで、お客様と対面でオーダーをうけることもあるため、消費者の気持ちを汲み取りやいのもこのブランドの魅力。

■レディオアオーダーの魅力

「YO-ASOBI」レディオアオーダーで初めて使わせてもらった財布

今でこそ「コンパクトウォレット」というカテゴリーができるくらい人気になったミニ財布。それを10年以上前から作っていたのがレディオアオーダーであり、そのモデル名が「YO-ASOBI」です。

 

クラブで遊ぶ時に必要最低限のものが収納できて、お尻のポケットに入れても平気。その上、財布を出す時に大人が恥ずかしくないクオリティ。さらに、小さくても通常の財布と変わらない使いやすさ。というコンセプトで開発されたミニ財布で、この先見の明と使いやすさというユーザーファーストな物づくりがレディオアオーダーの魅力です。

■日本人ユーザーの審美眼はダントツ

近年では中国をはじめとするアジアの国々も生産力が向上。ハイブランドの商品もそれらの国々で生産されており、日本がずば抜けて高品質の商品を作るというイメージではなくなってきたそうです。

 

とすれば日本製の魅力とは何か、と尋ねてみると

 

「お客様の好みの違いは大きいかなと思います。日本人はものすごく目が肥えていて、綺麗で上品な品質のものを好む傾向があります。そのため、商品を取り扱う百貨店や小売店もエンドユーザーの期待に応ようと、自然と審査が厳しくなります。そこで実直に答えようとする日本人の性質も相まって、日本の職人さんは今でも鍛えられているのだと思います」と回答。

 

どちらかというと、それぞれのこだわりを追求する職人像を持っていた身としては、日本製品のどこか美しく品のある精密な作りが、お客様との関係性で鍛えられているという点には驚きでした。ユーザーファーストな職人さんや工場、ブランドだからこそ信頼され生き残って行けるのかもしれません。

■最初に見るのは「ステッチワーク」

△ミシン縫い。丁寧で温かみのあるモノ作りは日本製の魅力。

多くの日本人の審美眼が肥えている点は理解できたのですが、最近ではネット販売なども増え、実物を見ずに判断することが増えてきました。なんとなく感じる美しさという漠然とした感覚ではなく、具体的に判断できる審美眼が備わっているかは不安なところです。そこで、同業者としてまずどのディテールを見るかをお伺いしました。

 

「最初に見るのはやっぱりステッチワーク。いわゆる縫製です。縫製が曲がってないかはもちろんのこと、ミシンの目が均一かどうかまで見てしまいます」

 

縫製というのはパッと見でわかりやすい箇所。この部分をこだわれないということは、その製品に対する想いやこだわりも推して知ることができるとのこと。

△一つ一つ職人さんの手により裁断。機械と手作業を使い分けることで丁寧さと効率を両立

また、何も入っていない状態でポケットが浮いてしまったり、縫製によって変なシワができていたり、閉じた時に本体とフタがずれていたりというのも論外だそう。こういった細かいディテールにまでこだわることで、綺麗で美しい「日本らしい」と言われる商品が生まれるのだと改めて実感しました。

■一番のこだわりは、「持ち勝手の良さ」と「使い勝手の良さ」

△L字型のミニウォレット 「POKKE」。手のひらサイズながらも収納力と使いやすさに優れる

「お財布は大切なお金の保管場所です。大切なモノを作らせていただいている以上、持っている人の気分が上がるモノを作りたいと思っています。そして、何よりもこだわっているのが、手に持った時のしっくりくる感じの『持ち勝手の良さ』と、小銭が見やすいかお札は出し入れしやすいかなどの『使い勝手の良さ』です。

 

こうした使いやすさがメンタルに大きく左右すると考えています。使い勝手などは人それぞれな部分はあるので万人が納得する正解はないのですが、実際にリピートしてくれる人がいた時に間違ってなかったんだなと思えます。」と井戸氏。

 

出来るだけ多くの人が不満なく使えるように、試作段階では実際に使っては作り直してと修正を繰り返すそうです。

△「YO-ASOBI」の小銭スペース大きく開いてミニ財布とは思えない見やすさ。

冒頭で「YO-ASOBI」という財布について触れましたが、この財布を最初に使ってみた時の感想が「優しい!」でした。コンパクトな財布なのに、普通の財布よりも小銭スペースが大きく開くため驚くほど使いやすかったのです。

 

当時、インポートブランドの財布が流行していたこともあり、その使いやすさにはカルチャーショックを受けました。レディオアオーダーの財布には、ユーザーファーストな使い勝手の良さが随所にみられます。日本という文化の中で試行錯誤された使いやすさも「メイド・イン・ジャパン」の魅力の一つでしょう。

お店で販売をしているときに井戸氏はある体験をしました。経年変化を伝えるサンプルとして自分が使いこんだものをディスプレイしていた時に、ヨーロッパのお客さんが来てその経年変化サンプルを指して「これが欲しい!」と。

 

そこで、これは中古だよ?新品がこっちにあるよ?と提案しても「これが良いんだ!」と言って買って行ってしまったそうです。ちなみに、日本人のお客様からそう言われた経験はまだないと語ってくれました。

 

大雑把な部分や色ムラなどを味と捉えるヨーロッパの人に対して、日本人は綺麗なモノを求める傾向にあるのが伝わるエピソードです。もしかしたら、日本人は自分で「育てること」を好むのかもしれません。ユーザーファーストな職人さんの思いが世界から認められる丁寧なモノ作りに繋がるのでしょう。

TEXT & PHOTO/宇田川雄一



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