モッズとロッカーズとレインボーパレードの街、イギリス「ブライトン」の魅力

モッズとロッカーズとレインボーパレードの街、イギリス「ブライトン」の魅力

イギリスと言えば「ロンドン」。多くの日本人がそう思っているはず。だがそれは「日本といえば東京」と言っているようなもので、そもそもその国の一番有名なところしか見ていない。日本各地に素晴らしい場所があるように、イギリスにも一度は訪れたい、訪れてほしい都市や街、場所が多々ある。

 

今回はイングランド南東部の都市「ブライトン(Brighton)」を紹介したい。かつてモッズとロッカーズの大乱闘があったこの街、今では若者文化が根付いたカルチャーの街として、多くのイギリス人の若者が憧れる場所になっている。

ブライトン駅にて。ロンドンから電車で1時間半ほどで到着する。

ブライトンを語る上でモッズとロッカーズは欠かせない

1964年、ブライトンの海岸で若者たちが大乱闘を繰り広げた。細身のスーツにミリタリーパーカーをまとい、ベスパやランブレッタなどのスクーターで移動していたモッズと、革のライダースジャケットに革パンツのスタイルで、トライアンフやノートンにまたがっていたロッカーズ。着ている服や聴く音楽、乗るバイクまで異なるモッズとロッカーズはしばしば抗争を繰り広げていた。

 

ブライトンの海岸で起きた両者の衝突はその最たるもので、「ブライトンの暴動」「スタイル・ウォー」と呼ばれ新聞沙汰になったほど。その後、この事件は映画『さらば青春の光』(Quadrophenia・1979年制作)となって後世に語り継がれている。

 

なお、2011年に作られた映画『ブライトン・ロック(Brighton Rock)』は、モッズとロッカーズの時代背景に加え、当時のブリティッシュギャングの抗争を描いたもの。両方の映画を観るとブライトンの歴史がよく分かる。余談だが、ブライトン・ロックは街で売られているお土産の“飴”のこと。金太郎飴のようにどこで切っても同じ絵柄で人気だ。

モッズvsロッカーズの大乱闘の舞台となった遊園地

観光地でもあるブライトンには遊園地「ブライトン・ピア(Brighton Pier)」がある。海のうえに迫り出すようにして建てられたこの遊園地、昼は家族連れや子供たちで賑わい、夜はカップルのデートの場所として人気だ。桟橋からの景色に「この海岸でモッズとロッカーズが抗争したのか」「この桟橋からスクーターが落とされたのか(映画・さらば青春の光より)」などを思う。

ブライトン・ピアの屋内入り口。看板の前がインスタ映えするポイント
施設内には絶叫系ほか、メリーゴーランドのような癒し系もある
「桟橋から飛び込むな」の注意看板。かつての抗争時代にはここから人やバイクなどが投げられたのだろう
モッズとロッカーズの抗争があった海岸

マイノリティーに寛容な街

ブライトンでは年に一回、レインボーパレードが開催されるなど、LGBTなどのマイノリティーに対して理解がある街としても有名。肌の色も話す言葉も、性別さえも超えた「人としての尊重」をとても大事にする傾向にある。レインボーパレードが開催されている期間は街全体がお祭り状態。世界各国から人々が参加し、パレードで盛り上がり、パブでさらに盛り上がる。

世界中から参加者が集まるレインボーパレード。パレードの最中は人混みでぎゅうぎゅうな状態。それでもみんな楽しそう
ブライトン博物館&美術館(Brighton Museum & Art Gallery)前にて。イギリス国内で最古の美術館としても有名な美術館も、レインボーパレードの日ばかりはお祭りモード

モッズとロッカーズが抗争を繰り広げたブライトンの街は、今ではイギリスで一番ラブ&ピースな場所として人々に愛されている。それでもブライトンが今も昔もカルチャーを生む若者の街なのは変わらない。ロンドンも良いけど、1時間ちょっと足を伸ばしてブライトンを訪れてみては。

海岸沿いを走るヴォルクの電気鉄道(Volk's Electric Railway)。1883年に運行された世界で最も古い電気鉄道だ。鉄道好きにもブライントンの街はおすすめ

Author: 早坂英之



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