雨でも傘をささない英国人 バブアーとアクアスキュータムの絶大なる信頼性

雨でも傘をささない英国人 バブアーとアクアスキュータムの絶大なる信頼性

「英国人は雨でも傘をささない」というのは有名な話で、本当の話。例えばロンドンだと、年間降雨量が東京の1/3程度ほど。それでも日本のような梅雨があるわけでもなく、一年中、小雨が降ったり止んだりしている。まさに霧の街ロンドンだ。

傘をさしている人はまばら。おそらく観光客と思われる。

では、英国人がどのようにして雨をしのぐかと言うと、ジャケットにフードが定番。ラフな格好の学生もスーツをまとったビジネスマンも、フードをかぶって小走りしている姿をよく見かける。朝ならば片手にティーも持って、お昼時はフィッシュアンドチップスを。夕方過ぎのパブの前では、小雨のなか、フードをかぶってパイントビールとタバコで過ごす(英国ではパブの中での喫煙が法律で禁止されている)。

 

それほど「雨に濡れることをさほど気にしていない」「雨が降ったり止んだりするから」「そもそもめんどくさい」のが英国人たちの本音だ。そんな英国人たちだが、身だしなみには人一倍気を使う。雨をしのぐジャケットも、英国紳士はきちんとしたコートやジャケットを身にまとう。今でこそアウトドアブランドのレインウェアを着ている人も珍しくはないが、古くから英国の定番として人々に愛され続けているブリティッシュ・プライドを紹介しよう。

ハンティングにルーツを持つ2つのコート

英国生まれのコートといえばBURBERRY(バーバリー・1856創業)、Aquascutum(アクアスキュータム・1851年創業)が代表格。バーバリーといえば「バーバリーチェック」が有名だが、アクアスキュータムは「ガンクラブチェック」と呼ばれる伝統のハンティング柄。このチェックが同ブランドの顔となっている。

アクアスキュータム「LEIGHTON」。スリップオンなスタンダードコートで、カジュアルにもビジネスにもよく合う。

そして、ワックスドクロスのBarbour(バブアー・1894年)の定番ジャケット「BEAUFORT」もハンティング用に作られた製品。バブアー自体、もともとは港湾労働者たちのワークウェアとして誕生したブランドで、高い防水・防風性能は狩猟時の雨除けとしても重宝された。

バブアー「BEAUFORT WAXED COTTON」。ワックス仕立てのコートとして、あまりにも有名。

雨を防ぐ水の盾、アクアスキュータム

アクアスキュータムは、ロンドン・リージェントストリートの高級服仕立屋としてビジネスをスタート。防水加工を施したウール生地を作り出し、特許を取得。「アクアスキュータム」はラテン語で“水の盾”を意味する。

その機能性の高さから英国軍人から王室まで、幅広く好まれるブランドとなり、ウィントン・チャーチル、マーガレット・サッチャー元首相らも愛用者のひとりである。

 

前述のとおり、アクアスキュータムの裏地はガンクラブチェック柄。このパターンはハンティングユニフォームとして用いられている。英国においてハンティングは貴族のスポーツ。王室御用達ブランドがこのチェック柄を用いたのもうなずける。

水を弾く、強力なワックスドクロス

生地の表面をワックスでコーティングしたのが、バブアーのワックスドクロスコート。バブアーはイングランド北東部の港町、サウス・シールズで生まれたブランドで、水や風に強い生地が漁師や港湾労働者たちを寒さから守った。その後、過酷な環境下でも身を守れるライダースジャケットとしても人気を博すようになる。

バブアーの裏地は「ブラックウォッチチェック」と呼ばれるタータンチェック柄で、英国軍にも採用されたもの。バブアーはアクアスキュータムと同じく、王室御用達ブランドでもある。

 

ハンティングジャケットのBEAUFORT WAXED COTTONは、インナーやフードをオプションで付けることができる。とくにフードは、雨をしのぐ傘代わりにかぶるのにちょうどいい。

なお、ジャケットもインナーも、さほど洗濯しないのがバブアー流。汚れを拭き取るだけが基本で、シーズンオフには専用のワックスを薄く塗って保管する。この儀式がバブアーならではで、なんとも心地よい。

 

英国人は雨でも傘をささない、というのも、同国を代表する防水コート&ジャケットをみるとうなずける。けっして安いものではないが、ずっと着られる“定番”なのがうれしい。「一生モノ」を語れる逸品だ。



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