作家イアン・フレミングの小説を原作とする名画『007』シリーズ。イギリス秘密情報部(MI6)に所属する主人公のジェームズ・ボンドが活躍する不朽のスパイアクション映画だ。
そんな同シリーズは、以前から巧みなプロダクト・プレイスメント(作品中に実在する商品や企業を登場させる広告手法)を用いていることでも有名だ。中でも注目度が高いのが、ボンドの愛車として活躍し、激しいカーチェイスを繰り広げる“ボンドカー”だろう。
3作目の『007/ゴールドフィンガー』でシリーズの人気を不動のものとしたアストンマーチン「DB5」や、『007は二度死ぬ』で特別仕立てのオープン仕様が登場したトヨタ「2000GT」、そして『007/私を愛したスパイ』で海へとダイブし、潜水艇仕様へと変身したロータス「エスプリS1」など、歴代ボンドカーはいつの時代も観る者はワクワクさせてきた。
ここに採り上げるBMW「Z8」も、1999年公開の『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』においてボンドカーに選ばれた1台で、ボンドカー仕様は、遠隔操作装置や小型ミサイルなどを搭載していた。劇中、敵のヘリコプターから吊された大型チェーンソーで車体を真っ二つにされるという“悲劇”を味わったものの、翌年の正式デビューへ向け、格好のアピールとなったのである。