冬コートの定番「トレンチコート」を知るための5つのディテール

冬コートの定番「トレンチコート」を知るための5つのディテール

■トレンチコートとは

定番コートの一つである「トレンチコート」。元々は第一次世界大戦時のイギリス軍が開発した寒冷地用防寒コートで、「トレンチ」とうい言葉は「塹壕」という意味があります。名前からも第一次世界大戦の「塹壕戦」を乗り切るために作られたコートであることが理解できます。

また、トレンチコートと言えばBurberry(バーバーリー)と(Aquascutum)アクアスキュータムが有名で、実用性を備えた機能とスタイリッシュなルックスはファッションアイテムとしても定番化。ビジネスはもちろんカジュアルにも合わせやすく時代に流されない定番コートです。

「塹壕戦」を乗り切るための防水アウターとして作られた背景だけに、他のミリタリーコートよりも細かいディテールが多いのも特徴。最近では忠実に再現するブランドは少なく、ディテールもミニマル化されてきていますが、その中でも押さえておきたいディテールを紹介していきましょう。

ディテール①「エポーレット」

エポーレットとは、「肩章(けんしょう)」また「肩飾り」の意味で、肩のところに付くバンド状の布のことをいいます。元々は軍服に銃や双眼鏡などの装備品を固定したり、階級を示すバッジをつけるものと付けられたと言われています。

ディテール②「ガンフラップ」

ライフルを撃つ際に銃床を当てて衝撃を和らげるための工夫として誕生したディテール。また、襟のボタンを全て留めた状態の時に上から被せれば、肩からの雨垂れの進入を防ぐことが可能に。そのことから「ストーム・フラップ」とも呼ばれています。

ディテール③「アンブレラヨーク」

トレンチコートにある、肩から背中にかけてフラップのような部分のことを言い、二重構造になっていて通気性の確保と雨の侵入を防ぐことを目的として作られました。これは「ストーム・シールド」と呼ばれることもあります。ちなみに“ヨーク”とは、衣服の切替部分のことで、そこに当てた布を表しています。

ディテール④「ダブルブレスト」

ダブルブレストとは、前身頃の幅が広く重なっていて、ボタンが2列に並んだコートのこと。もともとは両前にできるのを目的として作られたディテールです。また、「breasted(ブレステッド)」は英語で「胸」を意味します。

ディテール⑤「スリーブストラップ」

風雨が強いときに袖口を締めてこれを防ぐとともに、腕の動きで袖がまくり上がらないように取り付けられたバックルを装着した袖ベルト。「アームベルト」とも呼ばれることもあり、最近ではボタン式タイプのものも多くなっています。

自分なりの着こなし方を身につければ楽しさが広がる

ビジネスコートの定番の多くはミリタリーコートが起源。それはスーツ自体の起源も軍服が派生してできたものだから相性がいいのも頷けるでしょう。また、カジュアルに着こなしたい場合にダブルブレストのものはちょっと格式が高く見えてしまいがちですが、パーカーやスニーカーなどコート以外はラフなアイテムを選べば日常でも着用しやすくなります。そのアイテムの歴史やディテールを知り、それぞれの役割や価値を実感すれば男性のファッションはより楽しくなりますよ。

TEXT & PHOTO/宇田川雄一



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