数々のミュージシャン・俳優から愛されたレイバン不朽の名作たち
■音楽やハリウッド、ポップカルチャーと親密な関係のレイバン サングラスの代名詞と言っても過言ではないRay-Ban(レイバン)。80年以上も世界中から愛されているサングラスブランドは、日本においても性別や世代を越えて人気の定番アイテムです。 そのアイテムの歴史や文化も含めてオシャレを楽しむメンズファッションにおいて、レイバンのサングラスは多くのミュージシャンやアーティスト、著名人が愛用していたり、映画の中で俳優が着用していたりと特別な魅力を持った唯一無二のブランド。なかでも名作と呼ばれている「ウェイファーラー 」「アビエーター 」「クラブマスター」の3モデルは影響力の強い人物や作品で登場するため、カルチャーにとってなくてはならない存在です。 これほどサングラスのモデル名が世間に浸透しているブランドは他にはなく、洗練されたデザインと時代に流されない存在感が世界中から愛され続けている理由の一つでしょう。 ■革新的な技術がレイバンの原点 10050588_07H その原点は、1923年に光学機器メーカーであるボシュロム社がアメリカ陸軍航空隊の要請によりパイロット用サングラスの開発を手掛けたことから。1926年にパイロット向けに開発した「レイバン・グリーン」と呼ばれるレンズが完成し、「アビエーター」モデルが合衆国陸軍航空隊に制式採用。1937年には一般販売を開始し、”光線(=Ray)を遮断する(=Ban)”という意味を込めてレイバンが誕生しました。 紫外線を100%カットする光学的な裏づけを持ったサングラスは、それまでの風よけや色付き眼鏡のようなゴーグルとしての役割しか持たないパイロット用アイウェアに比べ、革新的に進歩。創業当時はファッション面ではなく、ミルスペック基準の機能面で大きな評価を得てレイバンは確立されたのです。 それから、ミリタリーアイテムを取り入れるファッションの流行や金属からプラスチックによる大量生産、アメリカの音楽シーンがフォークからロックへと変遷していくという様々な流れの中で、レイバンというブランドは機能面を超越してファッションアイコンとしての地位を確立していきます。 ■世界で一番有名なサングラス「ウェイファーラー」 △RB2140F「WAYFARER (ウェイファーラー )」 レイバン初のプラスチックフレームとして1952年に誕生した「ウェイファーラー」はサングラスの歴史の中で最も有名な1本。ミュージシャンやアーティスト、ファッショニスタ、ハリウッド映画など著名人たちが多く愛用したモデルで、ポップカルチャーやファッションになくてはならない存在。 また、レイバンというブランドのファッション性を確固たるものとしたウェイファーラーは、現在でも時代を越えて圧倒的な人気を誇る名作中の名作です。 △多くの有名人が愛用するウェイファーラーにあって特に印象的なボブ・ディラン 。 ボブ・ディランをはじめマドンナ、映画『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーン、映画『ブルース・ブラザーズ』のジョン・べルーシなど多くの有名人が愛用。現在ではアジアンフィットモデルなど、目鼻立ちのはっきりとした西洋人以外でも着用がしやすいモデルも誕生。洗練されたデザインはそのままに、より多くの人が身につけやすく進化し続けるのもウェイファーラーが長く愛され続ける理由の一つです。 ■レイバンの原点であるパイロットモデルの「アビエーター」 △RB302558「Aviator(アビエーター )」 ふたつめは、レイバンを象徴するパイロットサングラスで最も歴史のある「アビエーター」。特徴的なティアドロップ (涙の雫)の型は飛行パイロットの目の動きをカバーできるように、最大の視野を確保するために考えられたデザイン。 ヘルメットをかぶったままでも着脱できる真っすぐなテンプルや、耐久性を高める効果のあるダブルブリッジなどミルスペックの機能美が魅力です。対象が自然な色合いに見えることから現在でも人気のグリーンのレンズは、レイバンが最初に開発した画期的なレンズで「レイバン・グリーン(Gー15)」と呼ばれるほど定着しています。 △映画『トップガン』でトム・クルーズが着用。 アビエーターを大流行させたのが1986年に上映された『トップガン』。劇中でトム・クルーズが着用したMA-1ジャケットと共に、街中で着用者が溢れかえるなど社会現象に。また、第一次世界大戦に続き第二次世界大戦でも重宝されていて、マッカーサーが着用した写真が残っているほどです。 2020年頃からクラシックなアイウェアが注目を集めており、ダブルブリッジのアイウェアがトレンドアイテムとして再燃。改めてアビエーターに注目が集まっています。 ■サーモント型の代表モデル「クラブマスター」 △RB3016F「CLUBMASTER(クラブマスター)」 最後に紹介するのが、1986年に誕生した金のメタルフレームとブロウ部分に配された厚みのあるアッパーリムが特徴的なサーモント型サングラスの「クラブマスター」。’50年代からインスパイアされたクラシカルでタイムレスなデザインは、カウンターカルチャーの知識人や、公民権運動のリーダーたちが当時かけていたものと同様のデザインを踏襲。カジュアルさがありながらも知性的な印象を与えてくれます。アメリカントラッドをスタイリングする上でも欠かせないアイテムです。 △1992年、映画『レザボア・ドッグス』にてティム・ロスが着用 タランティーノの脚本・監督デビュー作である『レザボア・ドッグス』は今でもカルト的な人気を誇る名作映画。その中でティム・ロスが着用しているのがクラブマスター。 また、サングラスだけでなく眼鏡としても映画で多く着用されている珍しいモデルで、『JFK』のケビン・コスナーや『マルコムX』のデンゼル・ワシントンなど、知性と力強さを兼ね備えた役柄の人物が身につけているのも印象的です。 世界最高級のサングラスと称されるレイバン。アラフォーより上の世代だけでなく、最近は若い世代の人達にも変わらずに支持を得ています。 映画の中の主人公やミュージシャンのジャケットを見ては、何を身につけているか必死に探していた時代。その労力分の愛着が湧いてしまうためなのか、当時から名作と呼ばれるモノ達は今も熱を持って愛されているモデルが多くあります。特にレイバンのサングラスは強く影響を与える人物が愛用しているためその名作度合いも高く、また、時代を牽引する人達の多くが魅了されていたことも興味深い話です。 歴史や映画や音楽などの昔の文化が残っていく間、変わらずに機能性を超越した憧れのサングラスとして新しい世代も魅了していくのかもしれません。 *イラスト:Koido Kana 宇田川雄一